【メッチャ簡単】エリプタの特徴について

こんにちは、イバスタです。

今回はエリプタについてまとめていきます。

色々な患者さんに吸入指導してきましたが、数ある吸入薬の中でも、エリプタが最も簡単なデバイスだと思っています。

吸う力がある程度ある方にはお勧めしているデバイスですよ。

サクッと覚えて、患者さんや同僚の薬剤師に教えてあげましょう!

まずは私の背景ですが

  1. 吸入指導経験300名以上
  2. 年複数回の吸入指導の講演会経験
  3. 学会で医師への吸入指導経験あり

では早速行きましょう。

一点だけ、注意点があります。

こちらの内容では、メーカーの手順表と異なるやり方を説明します

それは、多くの患者さんを指導した経験に基づいた内容となっているからです。

適正かどうかに関しては、ご自身の責任のもと参考にしてくださいね。

エリプタの特徴について

エリプタの特徴ですが。

  • 吸入操作が楽
  • LABA以外の全てのデバイスが揃っている
  • カウンターが大きく見やすい、残数も分かりやすい
  • カバーを閉めない限り何度でもやり直し可能
  • 乳糖で吸入したかどうか分かる

私が思うエリプタのメリットはこの5点です。

さて1つずつ見ていきましょう。

吸入操作が楽

エリプタの良さは吸入操作が楽。これにつきます。

用法ですが

1日1回吸入投与する。と言うのがエリプタの用法です。

使い方はカバーを開けることでセットが完了し、後は吸入すれば終わりです。

カバーを開けたらセット完了です。簡単じゃないですか?

加えて細かい話になるのですが、似たような吸入器でディスカスというデバイスがあります。(同じGSKというメーカーが作っています)

このディスカスのポイントの一つとして適切な量が取るためはディスカスを水平にセットするように指導する必要があります。

しかしエリプタは水平ではなく垂直にセットすることができます。

エリプタのいいところは、慣れてくると患者さんは充填する時にデバイスを水平にすることを忘れて垂直に充填してしまいがちなのです。

元から垂直でセットできるエリプタは患者さんのことを考えた設計になっているわけですね。(もちろん逆さまに充填すれば薬剤がこぼれますので注意が必要ですよ笑)

恥ずかしながら吸入指導をしている私もセット時に水平にするのを忘れてしまうことがあるので、そういったピットフォール(≒誤り、失敗)を防ぐこともエリプタの良さです。

LABA以外の全てのデバイスが揃っている

ほぼ全ての薬剤を網羅しているのもエリプタの凄い所ですね。

LABAを除くICS、LAMA、LABA/LAMA、ICS/LABA/LAMAが揃っています。

それぞれの薬の名称は

  • ICS:inhaled corticosteroid 吸入ステロイド薬
  • LABA:long-acting β-agonists 長時間作用性β2刺激薬
  • LAMA:long-acting muscarinic antagonist 長時間作用性抗コリン薬
  • SABA:short-acting β-agonists 短時間作用性β2刺激薬

SABAだと発作用に処方されるメプチンなどです。

さて、エリプタの各薬剤は以下のリストにまとめました。

  • ICS:アニュイティ
  • LAMA:エンクラッセ
  • LABA +LAMA:アノーロ
  • ICS+LABA:レルベア
  • ICS+LABA+LAMA:テリルジー

このデバイスの凄いところは、もし患者さんが他のデバイスを既に導入して、うまく吸入できていなかった場合、代替薬としてエリプタが十分役割を果たすところです。

例えば、シムビコートタービュヘイラー(ICS+LABA)は発作時に使用できるSMART療法、吸入回数のこまめな調整ができるといった利点(発作時には救世主になります)がありますが、薬剤充填時の吸入操作に難があります。

タービュヘイラーはご高齢の方には難易度が高いデバイスだと私は思っています。

うまく吸入操作ができなければ、レルベアエリプタに切り替えができます。

LABA+LAMAの場合は、ウルティブロブリーズヘラー、スピオルトレスピマットがありますが、こちらも上手くいかなければ、アノーロに代用可能です。

唯一厳しいかなと思うのが、HOT(在宅酸素療法)導入の患者さんで吸気流速が少ない患者さんです。

ジュースをなんとかストローで飲めるくらいの方だと吸う力(吸気流速)が弱すぎて導入できないと思います。(具体的にはヒューヒューと苦しそうにされている患者さんには厳しいかと思います。)

*実は吸気流速が低いのは呼吸の吸い方の可能性もあります(ホー呼吸でやるとうまくいく場合もあります。)

エリプタにはトレーナーもありますので、このトレーナーを使ってみて音が出なければエリプタの導入は残念ながら見送ることを検討した方が良いかと思います。

その場合は噴霧式(pMDI:ガスが出るようなタイプ)がオススメです。

フルティフォームやビベスピ、ビレーズトリエアロスフィアですね。

こちらは同期のタイミングが重要になるので、同期が厳しければスペーサーの購入を検討してください。

カウンターが大きく見やすい、残数も分かりやすい

エリプタのカウンターは全てのデバイスで最も大きく表示しており、視力が低下している患者さんでも分かるほど大きく表示してくれています。

今のところ私がお会いした患者さんの中で見えないといった患者さんは1人もいませんでした。

次に30日(14日、7日もありますが多くは30日処方で出されるかと)という月単位でカウンターがセットされています。

これがなぜ良いかというと

吸入薬でのよくあるピットフォールの1つとして挙げられるのが、0になっても使い続けてしまう問題です。

例えば1ヶ月に1本というイメージを持ちながら月初に使い始めれば、月末になくなるというイメージができるので、ご家族で薬剤がなくなるタイミングを共有できます。

エリプタは10回を切ると、カウンターの一部が赤くなり、交換の目安を教えてくれますし、0になるとカウンターが全て真っ赤になるので、終わりの合図が分かりやすいという良い点があります。

やり直し可能

これはエリプタに限ったことではなく、カプセルを使用するブリーズヘラーやハンディヘラー、タービュヘイラー、ディスカスといった様々なデバイスも同じようにやり直し可能です。

1回きりではないので、吸入の同期が上手くできずに吸えなかったという問題なく、何回もやり直して薬剤を吸い切ることができます。

ただしエリプタの場合はカバーを閉じるとカウンターが1つ減ってしまうので注意が必要です。

吸入口を拭くのにカバーを開けたり、遊んだりしているうちにいつの間にか残数0になってしまうこともあるので、注意するように指導しましょう。

乳糖で吸入したかどうかが分かる

エリプタ以外のDPI(ドライパウダー製剤)でも乳糖を使用している吸入薬(例えば:シムビコート)は存在していますが、エリプタでは吸入したかどうか分かりやすいのが特徴です。

メーカーから練習用デバイスを取り寄せて体験してほしいのですが、吸ってみると粉が口の中に入ってくる感覚とほんのり甘い味がします。

同じようにタービュヘイラーも乳糖なのですが、残念ながらこちらは分かりません。乳糖が小さすぎるのでしょうか?

なぜこの話をするかというと

しっかり吸入できたかどうか分からず、何度も吸ってしまう可能性があるからです。

実際に自分がそうでした。

過去に咳喘息に対し処方をされたことがあります。

タービュヘイラーを実際に吸ってみると吸えたかどうかの実感を感じられず不安になってしまい、1回2吸入の指示にも関わらず、1度に4吸入してしまったことがありました。

恥ずかしながら吸入指導をする側にもかかわらず、ピットフォールを起こしてしまったんです。

味覚で吸入したことを確認できるというのは、このような過量投与を防ぐメリットがありますので、吸入指導の際には、患者さんに甘みを感じるか聞いてみましょう。

最後に

今回はエリプタ特徴をまとめました。

  • 吸入操作が楽
  • LABA以外の全てのデバイスが揃っている
  • カウンターが大きく見やすい、残数も分かりやすい
  • やり直し可能
  • 乳糖で吸入したかどうか分かる

メーカーのQ&Aにもありますのように、このデバイスは、簡便性を意識した作りになっております。

私は特に吸う力が維持されていて、認知機能が下がってしまっている患者さんにデバイス使用を提案しています。

吸入操作が上手くいかなければ、次の一手はエリプタというイメージを持っておくといいかもしれませんね。

以上です。

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