こんにちはイバスタです。
患者さんへのインスリン注射教育を看護師さんから頼まれます。
何度か指導をする中で、患者さんがインスリン注射をする時によく間違えるポイントがあるため、共有したく書いていきます。
入院患者さんを見ていて思うのは、指導時はうまく出来ていたとしても翌日手技が上手くできていないことが多くあります。
吸入薬では時間の経過により手技力が低下していくという報告もありますので、インスリンの操作手技についても同様のことが言えるかと思います。
では早速いきましょう。
まず糖尿病治療の目標について確認していきます。
糖尿病の合併症を未然に防ぎ、健康な人と変わらない生活と寿命を送ること。
この目標を理解されている患者さんは多くない印象です。
「私は糖尿病だからこの薬が処方された、でもこの薬はいつまで続けるのだろう、なんで使っているのだろう」と話す患者さんがいました。
なぜ処方されたのか、なぜインスリンを打つ必要があるのかを説明し、患者さんが自主的に打てるような環境に持って行きましょう。

自己注射製剤で見られる誤使用の一つだと思います。
この誤使用の原因として考えられるのは、
注射部位に接着する前に打ってしまうこと。
またボタンを押したら終わりだと勘違いし、インスリンのボタンを押し切らずに終えてしまうことです。
つまりタイミングがずれてしまっているということですね。
この誤使用は薬局、病院では一緒にデモンストレーションをしながらやるため、なかなか気づきません。
指導時では、薬剤師がやり方を誘導していきます。
患者さんは、投与へスムーズに移ることができ、上手く注射することができます。
そのため指導した薬剤師は患者さんがしっかり自己注できると判断してしまいます。
病院では患者さんが入院されているので、翌日に再度インスリン投与確認を行うことができますので確認してみると、皮膚に接着する前に打ったり、ボタンを押し切らずに離してしまうという、誤使用を見ることができますし、患者さんの操作を薬剤師、看護師を始め、色々なスタッフがチェックする機会があります。
しかし保険薬局ではインスリン操作のチェックは服薬指導時と限られた時間しかありませんので、特にご高齢の患者さんでしたら、許す限りしつこく繰り返し指導してみましょう。
一度出来たとしても次は上手く出来ないということが多くあるので要注意です。
また、一つ参考にして頂きたいのですが、年齢を重ねるとデュアルタスクが難しくなります。
デュアルタスクとは、例えば、歩きながら話すといった、二つの動作を一度にやることです。
つまり、話ながら並行してインスリンの手技を指導すると、患者さんはなかなか覚えられません。
まずは、薬剤師の方で、操作ごとに区切りながら実演する。
そして、患者さんにも同様にやってもらうといいですね。
患者さんは分かったつもりになることが多いので、操作毎に区切りながらやるとより効果的です
例えば、
インスリンのキャップを外す。だけを患者さんと一緒に行う。
インスリンの針をつける。だけを患者さんと一緒に行う。
という形です。
患者さんが納得出来たから、操作が出来たわけではないので、何度も一緒に確認してみてください。

ダイアルには偶数しか記載がないものがあり、奇数の指定だと数字の記載がないので間違ってしまうリスクがあります。
さらに数字も小さいため視力が低下されている方は、目盛合わせが難しく感じられます。
そのため指定の単位とダイアルを対応できるようにしっかりと指導してあげましょう。
まずは、ダイアルの設定時にメガネの着用をする。ご家族がいるのであれば、一緒にチェックをする。
もし小さすぎる場合はダイアルの数字が見やすいフレックスタッチに切り替え提案を薬剤師からすると良いかもしれません。
ダイアルの調整ミスは過量投与では低血糖のリスク。過少投与では血糖コントロールが出来ていないと医師が判断し、投与単位の増加に繋がり、結果過量投与になり低血糖になる可能性がありますので注意が必要です。
液の流路が閉塞していないことの確認、注射器が壊れていないことの確認、注射針の空気を除去する為です。
インスリン自己注射ガイドより
空打ちを忘れる方は様々です。忘れ方も全くやらない方もいれば、朝だけ空打ちをしたりと人によってバラバラです。
慣れることで、空打ちを忘れることはなくなっていきますが、なぜ空打ちをするのかを理解させましょう。
インスリンはタンパク質ですので使用中は室温や涼しい場所、未使用の部分は冷蔵庫で凍結しない場所で管理するように説明されます。
特に夏場ですと、自動車の中などに長時間放置したままにすると変性する危険性があります。本来は白く濁りますが、半透明になっていたり、内壁に付着物が見られてたりしたら使用するのはやめましょう。
また冷蔵庫にしまう時にも冷気の吹き出し付近へ置かないようにしましょう。チルド室は約0℃なのでインスリンが凍ってしまいます。ドアポケットに置くようにしましょう。
加えて冷蔵庫の温度設定も強冷だと凍る可能性があるので注意です。
凍ってしまいインスリンの働きがなくなってしまいます。
これは気づきにくいですが、もし余っていたり、通常より早く使い切っているようでしたら確認しましょう。
もしかしたら、変更前と同じ投与量を打っている可能性があります
私がお会いした患者さんで、インスリングラルギン13単位から10単位に変更指示がありました。変更指示があったので、理解しているかどうか患者さんに確認しました。すると投与変更について理解していたはずですが、13単位に設定し注射しようとしてしまいました。
このようにしっかり伝えたとしても、患者さんが分かったつもりになっている可能性がありますので、薬袋に大きく目立つように書くか、薬情に書くのが良いかと思います。
吸入器もそうですが、よく思い込みでやる患者さんがいるので、口頭で伝えて患者さんが頷いていたとしても疑うことが重要だと思います。
見えないところで誤使用も。再チェックを!

さて今回はインスリンの誤使用について5つ紹介しました。
我々が想像しないようなやり方でインスリンを使われる方もいらっしゃいます。
もしかしたらそれが低血糖になったり、上手く血糖コントロールが出来ない原因かもしれません。
薬剤師が誤使用を見つけて修正したことで、血糖コントロールを改善できた例もあります。
患者さんが継続して上手くインスリンの自己注射をできるように導くことが薬剤師の仕事ですので、是非とも一度指導したから終わりではなく、デモ器を使用して定期的に確認して見てください。
以上です。

