AI が病院薬剤師の仕事を奪うか【臨床現場から考える】

こんにちは、イバスタです。

今回は「AIが病院薬剤師の仕事を奪うのか?」というテーマで、病院薬剤師の目線で書いてみました。

AIは今いちばん熱いテーマですし、私自身もChatGPTが出た当初から利用していて、今は有料版も日常的に使ってます。

本当にAIの出現で、学習や調査、分析、創作などなど、劇的に変化しました。

本当にすごい技術革新です。

さて本題に戻りますが結論としては。

必ず人の病院薬剤師は残る。

ただしここが重要で「人がやらなくてよくなる仕事が増える」=結果として必要人数が減るのは、普通に起こり得ると思いますし、実際に起こっているかと思います。

すでに置き換わり始めている領域

病院薬剤師の仕事は、「機械が得意な仕事」がかなり多いですよね。

たとえば、

・手順が決まっている

・同じ作業を繰り返す

・監査する

・大量に処理をする。(一包化)

こういうのは、「仕事の形が機械向き」 なんです。

調剤・払出・供給は、もう自動化が進んでる

自動分包機とかは、病院でも薬局でもありますよね。

分包時のエラーが減りますし、人が一包化にかける時間もコストも削れるから、導入する理由がわかりやすいです。

明らかに人がやるより機械に任せたほうが完成までの時間が早く、ミスも少ない。

私の病院でも、一包化の錠剤を仕分ける装置があり、仕分け後に仕分けた錠剤を学習するAIが導入されています。

監査も、すでにAIが入ってきてる

実際に監査装置が一時チェックを行い、薬剤師が最終確認みたいに、薬剤師が責任を持ちやすい形に組み直してる感じですね。

で、これが現場として大きいのが、「人数が少なくても回せる」状態が作れてしまうこと。

病院薬剤師を希望する人が減ってきている今日でAIや機械が入ることで「そもそも採用しなくても回る」って発想になると、

これはもう“仕事を奪う”に近い形で現実に起きてきます。

7割の病院が赤字と言われているので、人件費も抑えたいところですから。

無菌、抗がん剤も自動化の波は既にきている

無菌調製や抗がん剤の混注も、ロボット化の流れは既にあります。

メリットとしては、

・作業が早くなる(夜通し作業が可能に) 作業効率UP

・暴露リスクを考えなくていい。 安全性UP

・ミスの減少。おそらく入力ミス、使用薬剤の取り違えなど人為的ミスのみに限られる。

このようなことが挙げられます。

ただし、「入れたら即・人件費が下がる」ってほど単純ではないんですよね。

そもそも装置自体が高額であり、装置の寿命が10年程度と言われています。

結局、運用・費用・メンテが絡むので、万能ではないです。

相互作用チェックといった支援ツールは既に導入されている。

相互作用チェックとか、用量チェックとか、そういう支援はすでに普及してますよね。

当院でももうAIが出てくる前から電子カルテシステムに導入されていましたし、ここ最近では電子処方管理サービスで、患者さんが同意をいただければ他の病院の処方データを取り込めて、そこで自動で相互作用、重複チェックをしてくれます。

生成AIの主な活動の場は周辺業務

ChatGPT、Geminiなどの生成AIが得意なのは、臨床そのものより

・文章の下書き

・要約

・説明文の言い換え

・記録文書の草案

・資料作成

このあたりが得意ですね。

ただし、生成AIはそれっぽく言うのが上手いぶん、

間違いも混ざるし、存在しない情報を作ることもある(ハルシネーション)ので、

「丸投げ」は危険で、結局は人のチェックが必要になります。

どうやっても最後は人が確認するんですよね。

置き換わりにくい領域

ここからが本題です。

病院薬剤師の仕事には 機械が苦手なところが確実に残ると思ってます。

僕が「ここは残る」と感じるのは大きく2つ。

薬の説明だけなら、正直タブレットでもできます。既にAI服薬指導も出てきていますから。

でも現場って、薬の説明も大事なのですが

・患者さんの不安、悩み

・患者さんの生活背景や家庭の事情

・患者さん、ご家族の理解力

こういうものが絡みます。

「薬の説明」より「愚痴を聞く方が役に立つ」みたいな場面、ありますよね。

あれって優しさだけじゃなくて、情報を引き出して医療に返す入口にもなる。

ここは、今のAIではまだ完全に同じことはできないと思います。

さらに個人的には、患者さんの理解力はA Iで評価するのは相当に難しいと思います。

例えば私であれば、少し話をしてみて分かったつもりかどうか確認するために、時折質問や確認をします。

そこから、このまま本人へ薬を渡すのが妥当か、それともご家族にも指導をする必要があるか判断します。

これはAIではそこまでの対応は不可能だと思います。

また処方日数や処方内容の突然の変更など、突発的な対応はまず無理でしょう。

そのため、AIのテンプレ回答、指導だけだと、まだまだ足りないです。

それと、チーム医療の「雑談・関係性・信頼」も無視できないですね。

カルテに書いてない情報が、医師、看護師、その他スタッフとの一言で取れたりしますし。

この“情報の取り方”は、現時点では人間の方が圧倒的に強いです。

最大の壁は「責任」と「制度」

ここが一番でかいです。AIが技術的にできるかどうかと、医療として任せていいかは別問題です。

薬剤師は、法律的にも「患者への情報提供・指導」が義務としてありますし、何かあったときに「AIが言ったので」では終われません。

結局、最後は人が責任を取る構造です。

仮にインシデントが起きた場合、患者さんからクレームが来た場合、AIがもし対応したら、私なら真っ先に「A Iではなく薬剤師を呼んでください」と言うでしょうね。

最後は人が責任を取らないと人は納得しないのです。

だから、完全置換はしにくい

また生成AIは間違ってても自信満々に言うので、医療現場だと事故につながりやすい。(鵜呑みは本当に危険。必ず添付文書やガイドラインなどは確認)

それでも「人員が減る」は普通にあり得る

ここまで読んで頂くと、「安心ではないか」って思ってしまうような記載ですが、完全置換は無理でも、“人が必要な量”が減るのはあり得ます。

理由はシンプルで、置き換わりやすい業務が多いから。

調剤・監査・供給・記録などが効率化されると、

「本来やるべき病棟業務に時間を回せる」って良い面もある一方で、

経営側からすると

・機械化、業務再設計、タスクシェア

・人件費などのコスト対策

などのメリットを感じ、同じ人数で回す、もしくは減らす方向にも行けてしまいます。

つまり「余った時間=増員の根拠」にはならずむしろ人員を減らす方向に行くのではないかと思います。

しかし装置は高額ですし導入したら終わりではなく寿命や更新、故障、メンテ、ダウンタイムもありますので「何でもAIで24時間回して最強」みたいな未来がすぐ来るかというと、費用対効果的に普及しにくい病院もあるかもしれませんので、どのタイミングでこのようなことが起きるのかは予想しにくいです。

希望的な未来:AIは“脅威”じゃなく“加速装置”にもなる

AI時代に価値が上がる薬剤師は「AIに勝つ薬剤師」じゃなくて、AIを使って臨床に寄れる薬剤師だと思います。

AIは

・DI

・情報の要約、申し送りの整理

・患者さんへの指導書の作成

このへんを確実に速くします。ただし、誤りも混ざるので注意が必要ですが、裏を取って、現場に落とし込むのは人の仕事。

ここが「AIを使える薬剤師」の腕の見せ所になります。

そして、対人・チーム医療は薬剤師の強みがさらに光るところ。

質問力と傾聴力で背景を引き出して提案につなげる。

他職種と連携してカルテ外情報を取りに行く。

タイミングよく疑義照会をする。

このへんは、現場で刺さるスキルで、AIだけではまだ難しい。

まとめ(結論)

AIと自動化で、調剤・監査・記録などの「置き換わる領域」は確実に広がります。

だから業務設計や人員配置の結果として、薬剤師の人数が減る可能性は十分あります。

しかし

・最終責任

・臨床への落とし込み

・対人、チーム利用の価値

ここは残り続けると私は思っております。

つまり、薬剤師は完全に置き換わらない。けど、減る可能性はある。

これが僕の現時点での結論です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。