こんにちは、イバスタです。
2020年4月より吸入指導加算が新規に始まりましたね。
この加算を機会に、吸入指導での地域連携を考えている医師、病院薬剤師さんはいらっしゃるのではないでしょうか?

保険薬局と吸入指導を連携するために病院ではどのように動いたらいいかな?
というような、少しマニアックな悩みについて今回は説明していきます。
さて私の背景ですが
・吸入指導ネットワークの立ち上げを行い、地域へ展開した。
・設立して3年経過し、現在も運用している。
・年4回、吸入指導に関する勉強会を開催し、定期的に地域保険薬局と連携強化に努めている
こんな感じですね。
この記事では実際に吸入指導ネットワークを構築した経験についてお伝えし、もしこれから地域連携を検討されている方がいましたら参考にしていただければと思います。
では早速いきましょう!
コンテンツ
吸入指導連携をするメリットは?

そもそも吸入指導連携をすることで得られる一番のメリットは、患者さんの吸入操作などの情報が医師へ直接フィードバックできることです。
保険薬局の先生方は、
患者さんへ一生懸命吸入指導をしたのに、それが医師のところまで情報が伝わらない、もしくは一部しか伝わらないこと
と言った悩みがあるかと思います。
これは医師にとっても同じ悩みであったりします。
実際に吸入薬を処方をしても、患者さんからの直接の聞き取りか、お薬手帳での記載などでしか医師は把握することができません。
しかしこのような情報は、医師の吸入薬の選択などに非常に有効です。
例えば
症状の悪化は吸入薬を適正に使用することで改善するかもしれません。
なのでむやみに薬を増やす必要はなくなります。
これは吸入薬ではコントロールできていないので、薬の追加(トリプル(LAMA+LABA+ステロイド)にするなど)やバイオ製剤、ステロイド内服の検討をすることになります。

吸入薬を上手く使えるかどうかで、患者さんの治療、コスト面での影響が大きく変わってきます。
バイオ製剤を導入しすると、上限額があるとはいえ、患者さんへの請求額がものすごく高くなります。
患者さんの生活が圧迫しますよ本当に…
患者さんで高すぎて払えないとかいう方もいるわけですから、なんとか吸入薬でコントロールしたいものです。
さて吸入指導加算の算定では
吸入薬指導加算は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者が吸入薬を適切に使用し、治療効果の向上や副作用の回避に繋がるよう、以下のア及びイを行った場合に3月に1回に限り算定する。
ただし、当該患者に対し他の吸入薬が処方された場合であって、必要な吸入指導等を別に行ったときには、前回の吸入薬指導加算の算定から3月以内であっても算定できる。ア 文書及び練習用吸入器等を用いて、吸入手技の指導を行い、患者が正しい手順で吸入薬が使用されているか否かなどの確認等を行うこと。
イ 保険医療機関に対し、文書による吸入指導の結果等に関する情報提供を行うこと。
厚生労働省:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項についてより引用
これは、COPD、気管支喘息に対し、吸入薬を使用している患者さんに、吸入指導を行って、ちゃんと吸入できているかどうか確認したことを病院に文書など送ってあげれば、3ヶ月に1回吸入指導加算を取ることができますという事です。
当該加算に係る指導は以下のア又はイの場合に、患者の同意を得て行うものであること。
ア 保険医療機関からの求めがあった場合
イ 患者若しくはその家族等の求めがあった場合等、吸入指導の必要性が認められる場合であって、医師の了解を得たとき
厚生労働省:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項についてより引用
記載にあるように、吸入指導加算は、患者、その家族、医者からの要望どれからでも算定することが可能です。
ただし、患者、家族から同意があったとしても、
医師の了解は必要(ここ重要!!)
なので、勝手に加算を取るわけにはいかないようですね。
さてここで問題になるのは、保険薬局の情報提供方法についてや了解の方法です。
各薬局でバラバラのやり方では、病院、各薬局とも対応がバラバラになり手間がかかるので、統一する必要があります。
そこで吸入指導の薬薬連携が必要になってきます。
では薬薬連携の立ち上げから公開までの方法について解説していきます。
大前提:協力してくれる医師(特に呼吸器内科医)を探す

まず是非やって頂きたいのは、院内の呼吸器内科医に協力を求めることです。

医師の参加が薬薬連携の充実につながります。
この理由としては、薬剤師だけで仕組みを作ったとしても、医師がその仕組みを利用してくれない限り、残念ながらあまり役に立ちません。
せっかく吸入指導の結果をフィードバックしても、医師が非協力的で確認をしてもらえなければ、吸入指導連携は何も役には立ちません。
なので
キーパーソンとなる医師を探すことから始めてください。
ネットワークの構築は医師に取ってはメリットしかありません。
上手くネットワークが機能すれば、全国に紹介することもできますし、論文にすることも可能かもしれません。
しかし、
ネットワークの構築までが非常に面倒なので医師が主体でやることには気が進まないでしょう。
ある程度プランをこちらで作成しておいて、医師へ相談すれば同意してくれるかと思います。

仕組み作りはすでにあるネットワークを参考にする

ネットワークの仕組み作りは一から始めるのではなく、すでにあるものを利用するといいと思います。
もちろん初めから構築して頂いても構いません。
しかしネットワークの構築を初めから行うと非常に時間がかかります。
勤務時間の合間や終業後にやるわけですからできるだけ、短時間で効率的にやる方が挫折せずにすむと思います。
例えば、吸入薬のデバイスの指導手順表、ピットフォール(誤操作)など一つ一つオリジナルで作成すると、10種類以上作成する必要があり、めちゃくちゃ時間がかかります。
例えば
埼玉吸入療法ネットワークでは、吸入依頼書や指導実施報告書、各デバイスでの手順表やピットフォール表などの資料が自由に手に入りますし、加工しても問題ありません。
定期的にアップデートもされており、非常に素晴らしい取り組みをされています。
こちらの八千代吸入療法研究会も非常に参考になります。
特にマニュアルが充実しており、吸入指導だけでなくQ &Aなど、吸入指導やデバイスで疑問に思うこともマニュアルで書かれています。
ぜひぜひ参考に独自のマニュアルや吸入指導手順表などを構築してみてください。
門前薬局との関係を構築

さて、仕組みがある程度構築してきましたら、門前薬局との連携を視野に入れていきます。
処方箋の多くは病院前の薬局が受けているかと思いますので、門前薬局の薬剤師さんに協力してもらわないと連携のメリットを十分受け取れません。
したがって、門前薬局との連携をお願いしましょう。
私の病院では4つの門前薬局がありましたので、4つの薬局全て、直接訪問し、吸入指導連携について説明を行いました。
お互いに顔が見える関係を構築しておかないとフィードバックも十分に受けられないかもしれません。
病院内外でコアメンバーの選出

連携を行うのにあたり、コアメンバーの選出を行います。
メンバーには医師、病院薬剤師数名、門前薬剤師数名および、外来看護師がいると非常にやりやすいです。
当院の外来看護師さんは、定期的に吸入操作のチェックをしてくれます。
またコアメンバーが複数人必要な理由は、一人でネットワークを運営すると非常に手間と時間がかかり負担が多くなります。
具体的にコアメンバーの仕事としては、吸入指導勉強会時に症例を用いてワークショップを実施するのですが、症例の作成をお願いしたり、持ち回りで幹事を担当して頂きます。
構築したものも維持するためには、仕事をできるだけ一人に集中させないことが必要です。
積極的に門前の薬剤師の先生に協力を求めるようにすると良いと思います。
試験運用期間を設定する

吸入連携の仕組みが構築できましたら、一度試験運用期間を設けます。
そのまま公開すると、実際に患者さんで運用したところ、想定以上に時間を費やしてしまった、加算の算定するのに実は足りないものがあったなど、次々と改善点が出てくるので、試験期間中に一つずつ修正していきます。

私の地域では6ヶ月間の試験期間を設けました。
ガツガツやるのであれば、もっと短くてもいいかなとは思いますが、十分に修正をするためにも、ある程度の修正期間は設けるとよいですね。
地域全体に公開

さて試験運用で修正点を改善して、いよいよ地域に公開していきます。
公開前には一度勉強会を開催し、地域の薬局さんに吸入指導連携について認知してもらってから実運用に移行するのが良いかと思います。
勉強会では運用方法の流れ、マニュアルの配布など説明を行い、地域薬局さんに認知して頂きます。
定期的なアップデートを行う

最後に、公開したら終わりではなく、地域の薬剤師からの要望などで改善をしてアップデートしていきます。
まず新規のデバイスの対応です。
新規のデバイスは今後も出てくると考えられるので、そのデバイスに対応できるように、手順表やピットフォール表を作成します。
次に定期的な勉強会の開催です。
例えばシリーズ制にし、今回はタービュヘイラー、次回はレスピマットなど、デバイス毎に開催し、ピットフォール(誤操作)などの確認をグループワークで行うことで、習得していきます。

病院で経験した患者さんの誤操作を保険薬局の薬剤師さんに紹介すると驚かれたり、納得されます。
こういう取り組みをすることで、薬剤師さんの吸入操作指導の水準を底上げしていきます。
連携の仕組みが一つできると、他の取り組みも比較的簡単に仕組化できます。

いかがだったでしょうか?
今回は吸入指導連携を構築するまでの順序について実際に取り組んだ経験をもとに解説をしました。
一連の流れを説明してきましたが
実際運用までには期間がかかります。
最短で数ヶ月、長いと数年かかると思います。

私の場合は仕事終わりに少しづつ進めていったので
大体公開までに9ヶ月くらいはかかったと思います。
時間がかかる反面
1つでも連携構築ができれば2つ目は簡単にできます。
例えば、残薬調整、内服薬の規格変更など
これらは病院、薬局、患者さん、医師、全てに時間短縮、確認の手間を省略できるメリットがあります。
今すぐ公開というのは難しいですが、時間をかけてゆっくり構築していけば、その地域オリジナルのネットワークが出来上がるので、悩まれている方は是非ともまずは気軽にやってみてはいかがでしょうか。
以上です。

